†Orion†
*“妻”“母親”*
優菜さんが作ってくれた晩飯は、和食だった。
焼き魚と煮物、サラダに酢の物、そして味噌汁。
短時間に、よくこれだけのものを作れるな、と感心してしまった。
卵焼きと同じように、やっぱり味はパーフェクトだった。
こんなに美味しいメシを毎日食べられるなんて。
優菜さんの家族は、世界一の幸せ者だよ。
夕食を終えて、リビングにある壁時計に視線を送ると、七時前になっていた。
「俺、そろそろ……」
旦那さん、今日は帰りが遅いって言っていたけれど、長居は禁物だ。
バッグを手にした俺を、優菜さんが引き止めた。
「そう言わずに。コーヒーでも飲んでいって?」
呑気にコーヒーを淹れながら、優菜さんは言う。