†Orion†


今さら帰ろうとしたって遅いのに。

挙動不審になってしまう俺に、優菜さんは落ち着き払って言った。



「大丈夫よ。心配しないで」


「でも……っ」


「パパーっ、おかえりーっっ」



ゆっくりと開かれた、リビングと廊下を仕切る木目のドア。



「ただいま――」



そのドアの向こうから少しずつ現れたのは、優菜さんの旦那さん――



「おかえりなさい」



スーツ姿で帰ってきた旦那さんを、笑顔で迎える優菜さん。

興奮状態で旦那さんに抱きつく奈緒ちゃんと、おぼつかない足取りで駆け寄るさくらちゃん。


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