†Orion†
「……ごめん。俺、帰らないと……」
俺を最初に拒んだのは、優菜さんだった。
でも今は、俺が彼女を拒む。
奈緒ちゃんとさくらちゃんを知ってしまったから。
浩平さんと時間を共有してしまったから。
ねぇ、優菜さん――……
それが目的だったんだろ?
君の思惑通りになったのに、ここで引き止めてしまったら、振り出しに戻ってしまうだろ?
「浩平さんや、奈緒ちゃんたちが待ってるよ」
なんだ……
俺……、ちゃんと自分の気持ちを抑えられるじゃないか。
振り返って、俺のシャツを掴む優菜さんの手を、振りほどく勇気さえもある。