†Orion†


背後から俺が声をかけると、浩平さんはニカッと人懐っこい笑顔を見せた。



「どうしたんですか?」


「よかった、店にいて。バイト、何時に終わる?」


「えと……、もう上がりましたけど……」



浩平さんは終始笑顔で、そこに俺が考えていたような悪いことはないのだと悟る。


いや……、まだ分からない。

こうやって笑顔で迎えながらも、二人きりになったら重たい話を持ち出してくるかも……。


たった一日、それもわずか数時間しか一緒にいたことがないから。

俺はまだ、この人の本当の姿を知らない。



「飲みに行かないか?」


「へっ?」



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