†Orion†


その横顔を見て、ほろ酔い加減ながらも、すぐに察知する。


あぁ、きた。

これから本題に入るつもりだ。



「あのさ、雅人くん……」


「浩平さん。なんで、俺を飲みに誘ったんですか?」



俺は、浩平さんの言葉を最後まで聞かないうちに、自分から切り出した。

ほんの一瞬、彼がためらうような表情をしたから。



酔っ払いが大騒ぎしている声。

オーダーを大声で読み上げる、威勢のいい店員。



浩平さんは頬杖をつき、俺をじっと見据えて言った。




「――……君が、優菜の好きな人だから」




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