†Orion†
「……は? なに言ってるんですか」
それは、彼が店にわざわざやって来た時点で、予測していた内容だった。
だからこそ俺は、動揺することなく、思い切りとぼけることができたんだと思う。
「隠さなくていいよ。君と最初に会った時に、すぐ分かったよ」
「……だから。それはただの思い過ごしですって。そりゃあ、若い男が家にいたら、誰だって疑いたくなる気持ちは……」
「雅人くん――」
呆れたように言う俺に、浩平さんは余裕いっぱいの笑みを浮かべた。
「俺と優菜はね、八年、一緒にいるんだよ。たった八年って言われればそれまでだけど……」
話を続けながら、浩平さんは胸ポケットからタバコを取り出し、火をつける。
そして、一口タバコを吸い、再び話を続けた。