†Orion†
「優菜の微妙な変化ぐらい、すぐに分かる。あの日、優菜の態度は明らかにおかしかったから」
「……そうですかね。俺にはいつもと同じに見えましたけど」
ドクドクと、俺の心臓は不気味な音を立て始めている。
こんなに動揺しているくせに、俺は呆れたように溜息をついてみせた。
「そして、雅人くん――……」
「はい」
「君も、優菜を好きなんだろ?」
「………っ……」
ストレートに言い当てられて、咄嗟に俺は、浩平さんから目をそらした。
落ち着かせるように、グラスに半分ほど残ったビールをグイと飲み干す。
ビールはすっかり生ぬるくなっていた。