†Orion†
*true last*
それから半月ほど経った、あるバイトの日。
その日は、閉店する深夜二時までの勤務だった。
ラストオーダーの料理を作り終えたあと、厨房の掃除に取り掛かる。
「ゴミ捨てに行くけど、厨房の分、一緒に出しとこうか?」
同じシフトの弘美が、大きなゴミ袋を抱えて厨房に顔を出す。
「あー、まだいい。俺、捨てに行くから」
「はいはーい」
出しとこうか? と言っておきながら、弘美は余計な仕事が増えずに済んだことを喜んでいる様子だ。
「斉藤さん、あとで明日のランチのスタンバイ(※)分、確認してもらっていいですか?」
「あぁ、分かった」
(※)……料理の下準備