†Orion†
何度も自分に言い聞かせながら、俺は優菜さんに言う。
「もうすぐ仕事終わるから、送って行きます。こんな時間に、危ないですから」
「……いえ、大丈夫です」
少し考えたあと、優菜さんはにこりと笑って、優しく断った。
「何かあったら……、店にも迷惑かけるんですよ?」
胸が、ズキズキと軋んだ音を立てる。
俺は、真っ当なことを言っていると思う。
でも、相手が優菜さんだからこそ、そういうことを口にするたび、胸がしめつけられる。
“心配だから、送っていく”
そう素直に言えない、この状況に――……