†Orion†


「そうね……」



優菜さんは俺の言葉をすんなりと受け入れ、俺の勤務が終わるまで、店のすぐ隣にあるレンタルビデオ店で待つことにした。


二時になり、店が閉まる。

大急ぎで掃除を終わらせた俺は、誰よりも早く更衣室に入り手早く着替えた。


店の施錠とセキュリティーキーのロック。

閉店までの勤務の時は、いつも俺がしているのに。

今日ばかりは、ホールの契約社員に頼んだ。



「……すみません、お待たせしました」



もしかしたら、帰っているかもしれない。

そう思っていたけれど、優菜さんはビデオ店の入り口で俺が来るのを待っていてくれた。



「いえ、本当にありがとうございます」



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