†Orion†
何度も“最後”だと言い聞かせて、結局は気持ちを抑え切れなくて。
でも……
「浩ちゃんとのことは、あたしたち家族の問題だから。もう……口出ししないでほしいの」
疲れ切ったような表情で言った優菜さんに、俺は“本当の最後”を感じた。
「……分かったよ」
再び歩き出した歩道。
肩を並べて歩いていくうちに、優菜さんの右手と俺の左手が何度か触れ合う。
そのたびに、俺たちは手を遠ざけて。
「………っ……」
「……泣くなよ」
どうして、彼女が泣いているのか。
俺は決して理由を訊かなかった。
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