†Orion†
ハシゴして一ヶ月は、まだ耐えることができた。
社員やバイトを見下すことしか能がない、パワハラぎりぎりの料理長もいれば。
逆に、料理長の方が見下されている店もあった。
少しずつ苛立ちを覚えるようになった二ヶ月目。
季節は、梅雨真っ盛り。
気が滅入ってしまいそうなほど、毎日降り続ける雨。
憂鬱な日々を過ごしている俺に、ようやく配属先決定の連絡がきた。
配属先は、優菜さんのいる、もとの店。
部長クラスに絶大な信頼を得ている料理長の口ぞえのおかげで、俺は希望通り戻ることができた。
――やるじゃん、料理長。
あなたのことだから、荒修行と言わんばかりに、粗悪な店に配属になるかもって思っていたよ。