†Orion†
もうこの先、優菜さんと俺の関係が前に進むことなんか絶対にないと思っていたから。
俺は優菜さんの誘いが、まだ眠りのなかで見ている夢なんじゃないかと疑う。
「……優菜さんのマンションに、ですか?」
確かめるようにして訊くと、優菜さんは「そう」と即答した。
……なんで……俺をうちに呼ぶんだ?
今夜ってことは、浩平さんも、奈緒ちゃんたちもいるってことだろ?
「でも……」
『時間は七時。待ってるから』
「優菜さ……」
一方的に約束を取り付けると、優菜さんははっきりしたことは何も言わず電話を切った。