†Orion†
溜息を何度もつきながら、マンションのエントランスに向かう。
そこで初めて、優菜さんの住む部屋番号が分からないことに気づいた。
前回ここに来たときは、優菜さんに案内されるがままだったから、部屋の番号なんて見もしなかったから。
携帯を取り出して着信履歴から優菜さんに電話をかける。
部屋番号が分からないと言う俺を、優菜さんはエントランスまで迎えに来てくれた。
「……あの……、話って何ですか?」
エレベーターに入ってすぐ訊いた俺に、優菜さんは背中を向けたまま答えた。
「うん……。浩ちゃんとのことなんだけどね」
……あぁ、やっぱり。
浩平さんとの問題が、うまく解決したんだ。