†Orion†
何から訊けばいいのか、混乱する頭のなか。
当事者でもある優菜さんは、俺とは違ってとても落ち着いていた。
「奈緒たちのことを思って、頑張ろうって思ったの。でもね――……」
優菜さんは僅かに視線を落とし、顔を曇らせた。
「浩ちゃんの頭のなかにあるのは、いつも彼女のことばかり。奈緒たちのことさえも、存在していないの」
「……そんなの気のせいじゃ……」
「あたしと浩ちゃん、それぞれ雅人くんと話したでしょう? それで、一度は、奈緒たちのことを思って頑張ろうってことになったの」
「………」
「でも、それも最初だけ。以前のように、浩ちゃんが家に帰って来ない日が続くようになって……」