†Orion†
そうなることが、奈緒ちゃんたちにとって幸せな未来だと信じて疑わなかったから。
「雅人くん……だけど……」
プロポーズの言葉をすんなりと受け入れない優菜さんは、複雑そうな顔をして何かを言おうとする。
俺は強引に、その口をキスでふさぐ。
「……先のことは、今は考えないで。これからゆっくりと判断していってほしい」
懇願するように言った俺に、優菜さんは少しためらった様子を見せた。
目頭を押さえながら、優菜さんはうつむいたまま口を開く。
「……ほんとうに……、あたしは最低な母親だわ」
自嘲気味に笑う優菜さんを、俺は黙って見つめる。