†Orion†


親父もお袋も、とても複雑そうな顔をしていた。

結婚したいという息子に、「あぁ、いいよ」とすんなり返事できない気持ちも分かる。



「それと……」



……そして、避けては通れない現実問題。



「彼女、子供が二人いるんだ」



俺が言った瞬間、親父とお袋の息を呑む声が聞こえた。


二人の顔が一気に険しくなる。

向かい合う俺と両親。そのあいだに言葉はない。



「……つまり……、バツイチ……ってこと?」



最初に口を開いたのはお袋だった。


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