†Orion†
「……まだまだ子供だな、おまえは」
「は?」
それまでヘラヘラと笑っていた兄貴の顔が、急に真顔になった。
俺はだらしなく横にしていた身体を起こすと、ベッドのうえに膝を抱えて座りなおした。
「子供の時から、こうしたいって思ったらすぐに行動する。その行動力はいいと思うよ。だけど……時には、じっと待たないといけない時もあるんだぞ」
「…………」
「相手が相手だし、おまえも社会に出たばかりだろ? 結婚の話を切り出すのは早かったんじゃないか?」
「……兄貴も反対なのか?」
「もちろん」
躊躇することなく、兄貴はきっぱりと言い切った。