†Orion†


駐車場で顔を合わせた時は、決して俺と関わらないようにしていたさくらちゃん。

打ち解けるのに時間はかからず、無邪気に笑いながら、俺の両肩をまたいだ。



「わーっ、高いよぉっ!」



ゆっくりと立ち上がると、さくらちゃんは興奮したように足をバタバタさせる。



「ちょっ、さくらちゃん。じっとしてないと危ないよ」


「うんうんっ!」



……本当に分かってるのかな。

忠告しても、さくらちゃんはバタバタさせている。

俺はさくらちゃんの両足を片手でしっかりと押さえつけると、空いたもう片方の手を奈緒ちゃんに差し出した。



「……手を繋ごう。人が多いから迷子になるよ」



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