†Orion†
奈緒ちゃんは少しためらった様子を見せたけれど、ゆっくりと自分の手を出し、俺の手をキュッと握りしめた。
「よし、最初は何に乗る? メリーゴーランド? コーヒーカップ?」
奈緒ちゃんとさくらちゃんくらいの年頃なら、やっぱり“ゆるゆる系”だろ?
訊きながらも、俺の足は自然と“ゆるゆる系”アトラクションのある方向へと向かっていた。
「奈緒、お化け屋敷に行きたい!」
「さくらもーっっ!!」
「………え?」
陽気に歩いていた俺の足がぴたりと止まる。
「あとねー、ジェットコースターとぉ……」
いや、ちょっと待て。