†Orion†


奈緒ちゃんは少しためらった様子を見せたけれど、ゆっくりと自分の手を出し、俺の手をキュッと握りしめた。



「よし、最初は何に乗る? メリーゴーランド? コーヒーカップ?」



奈緒ちゃんとさくらちゃんくらいの年頃なら、やっぱり“ゆるゆる系”だろ?

訊きながらも、俺の足は自然と“ゆるゆる系”アトラクションのある方向へと向かっていた。



「奈緒、お化け屋敷に行きたい!」


「さくらもーっっ!!」


「………え?」



陽気に歩いていた俺の足がぴたりと止まる。



「あとねー、ジェットコースターとぉ……」



いや、ちょっと待て。


< 294 / 359 >

この作品をシェア

pagetop