†Orion†
心臓が破裂しそうなくらいバクバクいっている。
神出鬼没な仕掛けに悲鳴を上げそうになるけれど、優菜の手前、俺はグッと声を押し殺した。
「雅人……、今日はありがとう」
「いえいえ」
少しでも恐怖を紛らわせようとしているのか、優菜は突然そんなことを言ってきた。
「……優菜」
「うん?」
「俺さ、絶対に優菜たちを幸せにするから。辛い思いをさせたり、泣かせたりしないから」
ろくろ首が井戸から突然現れたけれど、いまはそれに驚いている場合じゃない。
なんだってこんな場所で、俺は……。
いや、こういう場所だからこそ言えるのかもしれない。