†Orion†


「……奈緒ちゃんたちのところに行かないと」



家のなかで眠っているであろう奈緒ちゃんたち。

二人を気遣い、俺は優菜からそっと身体を離した。



「……うん」



助手席のドアを開けて優菜が車を降り、俺も続いて車から降りた。



「明日は……晴れるね」



夜空にちりばめられた星を眺めながら、優菜がぽつりと呟いた。

空を仰ぐと、明日は間違いなく晴れることを星たちが教えてくれている。

街灯のないこの近辺は、俺がいま住んでいるところとは違って、星がとてもきれいに見えた。



「雅人が最初に覚えた星座って、なんだったっけ」



夜空を仰いだまま、優菜が思い出したように訊いてくる。


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