†Orion†
「……北斗七星」
星座の話をしたのは、まだ俺が学生だった頃、キャンプ場で優菜とキスしたときだ。
あの頃は、優菜とこんなふうになるなんて思ってもいなかった。
「優菜は、オリオン座だったよな」
「……よく覚えているね」
当然だよ。
些細な会話でさえも、俺は今でもちゃんと覚えている。
一つたりとも忘れたことなんかない。
「まだ、オリオン座は見えないね。冬の星座だから」
「……冬になったら、俺、最初にオリオン座を見つけるよ」
優菜は小さく笑いながら、夜空から視線を外した。