†Orion†
「離れていても、同じ星を見ていたら、一緒にいるような気持ちになれるのかな」
「……なれるよ」
また、涙が出そうになる。
これからさき、星を眺めている時でしか時間を共有できない。
遠く離れた、声も届かない場所から。
「……雅人。あたしを待つのもいいけど……、自分の幸せも見つけてね」
言って、優菜は俺の返事さえも聞かずに、背を向けて歩き出した。
優菜を引き止めてまで言わなくても、彼女にはちゃんと分かっているはずだ。
俺の幸せが、何なのかってことぐらい。
家のなかに消えていこうとする優菜を、最後まで見届けようと、俺はその場に突っ立ったままでいた。
「………?」
ふと、優菜の足が止まる。
そして、踵を返したかと思うと、優菜はこちらに向かって走ってきた。