†Orion†


俺を捜しているという女の子の存在は、それほど気にはならなかった。

誰なんだ、と、頭を抱えて考えるほどでもない。

増田が言うように、そのうちここにも来るだろうから。



事務仕事を終えて外に出ると、きんとした冷たい空気がからだじゅうを包み込む。

季節は十二月。

ふと空を見上げると、澄んだ夜空に星が光り輝いていた。



「今日もキレイに見えるなぁ……」



真っ先に捜すのは、オリオン座。


“離れていても、星は同じように見えるから”



――優菜……

君もいま、あのオリオン座を見ているのかな。



あれから七年。

優菜からの連絡は途絶えたままだ。


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