†Orion†
*彼女の家庭*
――金曜の夜、俺はいつまでたっても眠りにつくことができない。
明日、杉浦さんに会える。
ただそれだけで胸が躍り、興奮状態に陥る。
カチカチと規則正しい音をたてる、部屋のアナログ時計。
一秒って、こんなに長いものだったっけ?
首を傾げたくなるくらいに、時間が過ぎるのが遅く感じる。
でも明日は、杉浦さんは保育園の運動会で休みだ。
彼女のいない土曜日はとてもつまらなくて、バイトに行く気力も失せる。
卵焼き……
来週の土曜日までお預けか。
それよりも、杉浦さんは覚えているかな。
もしかしたら、単なる社交辞令かもな――……