†Orion†


「きっと、あたしたちが原因なんだって思って。あたしとさくらは、全然平気なのに。……お母さんがグズグズしているから、あたしが代わりに迎えに来たってわけ」


「……奈緒ちゃん……、それじゃあ……」


「……長かったね、この七年。……ううん、お兄ちゃんからすれば、もっともっと長かったんでしょう?」



――どれだけ、待ち続けたんだろう。

優菜と出会ったときから、今のこの瞬間まで。



まだ十代だった。

初めて本気で恋をした相手は、手の届かない既婚者。

好きにならなければ、普通の恋をしていたはずなのに。


そして、何度も断ち切ろうとして、そのたびに、思いがあふれ出しそうなくらい深くなっていった。

毎日毎日、一人のひとをずっと思い続けて。



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