†Orion†

*再会の夜*



優菜たちが住んでいるアパートは、高速道路を降りて十分ちょっとのところにあるらしい。



「お母さん、びっくりするだろうなぁ」



楽しそうにフフッと笑う奈緒ちゃんにつられて、俺もつい、笑ってしまう。


ふと、車のデジタル時計を見ると、十時を少し過ぎている。

……笑っている場合じゃない。



「奈緒ちゃん、お母さんに連絡した? まさか、黙ってきたわけじゃないよね?」



夜の十時過ぎに中学生が外を出歩いているなんて……。



「大丈夫。今日は友達の家に泊まるって行って来たから。……あ、アリバイも完璧だよ? お母さんがすごく信用している友達の名前出したから」



あっけらかんとして言う奈緒ちゃんに、軽い頭痛を覚える。


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