†Orion†
Epilogue
春――
満開の桜の木が立ち並ぶ、高校の正門。
天気は、晴れ。
春の優しい陽射しが降り注いでいる。
「奈緒! 早くしないと入学式に遅れるよ?」
「えー、ちょっと待ってよ、お母さんっ!」
奈緒は、朝からずっと胸元のリボンばかり気にしている。
あたしは呆れたように溜息をつきながら、奈緒のリボンを一度ほどき、丁寧に結びなおした。
「さっすがお母さん!」
今日は奈緒の高校の入学式。
さくらは、あの火事で軽い火傷を負っただけで済んだ。
ぜんぶ……雅人のおかげ。