†Orion†




「当たり前だろ? “斉藤奈緒”って呼ばれるんだぞ? 俺の娘だぞ?」




カメラを調整するときに、きらりと光る左手の結婚指輪。




あの日――……

病院で、一度止まった雅人の心臓は、再び動き始めた。

幸いなことに、心肺停止の後遺症は見られず、驚異的なスピードで回復していった。




“やっぱり、優菜を思う気持ちは最強だ”



神様のくれた奇跡に泣きじゃくるあたしたちに、雅人は笑ってそう言った。


あれからあたしと奈緒たちは、しばらく実家に身を寄せていたけれど。

雅人との入籍を機に、以前住んでいたこの町に戻ってきた。



< 355 / 359 >

この作品をシェア

pagetop