†Orion†
隣で嗚咽を漏らす雅人の姿が、視界の隅に入る。
ほんとうに、泣き虫なお父さんだね。
おかしくて、クスクス笑いながら、カメラは奈緒の姿を追い続ける。
あたしたち家族は、まだ始まったばかりだけど。
雅人がいれば、これから先、どんなに辛いことがあっても乗り越えていけそうな気がする。
あの日。
さくらを命がけで助けた雅人。
奈緒たちを思って、身を引いた雅人。
それは、生半可な気持ちではできないことだと知っているから。
君がプロポーズした時に言った言葉。
あたしも同じことを君に言うよ。
“生涯の愛を、君に捧ぐ”
――fin――