†Orion†
「………っ?」
ひどく驚いた顔で、杉浦さんは俺をじっと見る。
「違うんです、あいつは彼女なんかじゃありません。俺、ちゃんと他に好きな人がいるんです」
真剣に訴える俺に、杉浦さんは言葉を失っていた。
「とにかく、誤解しないでください。俺が好きなのは……」
反射的に言いかけて、言葉に詰まった。
俺が好きなのは、杉浦さんです。
それを言ってしまったら、やっと進み始めたこの関係が崩れてしまいそうで。
口さえも利いてもらえなくなりそうで……。
俺は、一言たりとも言葉を零してしまわないよう、口をキュッと硬く結んだ。