†Orion†
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった俺を、講義室の学生と、教壇にいた教授が一斉に見る。
俺は慌てて教科書を立てると、サッと顔を隠した。
教授はマイク越しにコホン、と、わざとらしい咳払いをし、再び講義を始める。
「……おまえ、杉浦さんに余計なこと言うなよ」
コソコソと早口で言うと、弘美はニタニタと無言で笑う。
「ただの友達だってことを、強調しておけよ」
「……雅人ちゃん。やーっぱり杉浦さんのこと好きなんだー」
「ばっ……!」
また大きな声を出しそうになって、慌てて口をつぐむ。
今度は誰も気づかず、咄嗟に周囲に視線を配った俺はホッと胸をなでおろした。