†Orion†
土曜日の休憩時間は、杉浦さんとの二人きりの時間。
なのに今日は、弘美も一緒だ。
「……杉浦さんって、下の名前、優菜っていうんですねー。かわいいー。優菜さんって呼んでもいいですかー?」
「ランチメンバーには下の名前で呼ばれているけど、学生の子に呼ばれるのは初めてかも。何だか恥ずかしいわ」
人懐こい弘美は、ぐいぐいと杉浦さんの領域に足を踏み込んでいく。
うらやましい。
俺にもそれぐらいの勢いがほしいところだよ。
「じゃあ、雅人も一緒に優菜さんって呼ぼうよ。“杉浦さん”じゃ、他人行儀みたいー」
笑って俺を誘う弘美。
杉浦さんは気づいていないけれど、あきらかに企み顔だ。
「いや、俺は……」