†Orion†
躊躇する俺を、杉浦さんはじっと見据える。
そんなに見ないでください。
ドキドキしすぎて、血管が破れてしまいそうだ。
まるで俺が、名前で呼ぶのを待っているかのような視線。
困惑している俺を、その視線は捉えて逃がさない。
「……“優菜さん”」
これ以上見つめられたら、息が止まりそうだ。
好きな人に見つめられるのはこのうえなく幸せなことなのに。
緊張が極度に達してしまった俺は、爆発してしまいそうな自分のからだを思い、彼女の下の名前を早口で言った。
「……“雅人くん”」
「え……っ?」