†Orion†


同じ店で弘美がバイトすることになって、俺は、彼女の行動を危惧していた。


でも弘美の行動は、俺の予想をはるかにこえていて。

それは思わず礼を言ってしまうくらい、俺には都合のいいことばかりだった。



「あたしに感謝しろよ」



……本当に。

神様仏様、弘美様だよ。



「これで少しは距離が縮まったんじゃない?」



講義を終えてごった返す教室の入り口で、弘美は満足げに言う。



「……まぁな。でも、ここで終わりだよ」



終わりの意味を知る弘美は、“そうだね”と力なく笑った。



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