†Orion†
ファミレスのバイトで優菜さんと知り合ってから、三度目の夏が、すぐそこまで来ていた。
昨日のニュースで、梅雨明けしたことを伝えた天気予報士はとても嬉しそうな顔をしていた。
「……これで思い切り洗濯できるし、布団も干せるわ」
梅雨明け宣言の翌日は土曜日で、俺と優菜さんの話題はまず、天気から始まった。
今日、弘美は夕方からの勤務になっていて、貴重な30分の休憩時間は俺と優菜さんの二人きり。
互いのことを名前で呼ぶようになってから。
俺の休憩中の食事は、いつもの店のメニューに、優菜さん手作りの卵焼きが加わった。
もちろん、俺のためだけに別の弁当箱に入れられているわけじゃない。
あくまでも“お裾分け”なんだ。