†Orion†


小学生の頃に、理科の授業で星座の名前とか形をいろいろと習ったけれど。

今でもはっきり覚えているのは、北斗七星と、カシオペア座くらいだ。

あと幾つかあったような気がするけれど、すぐには思い出せない。



「……雅人くん?」



口をぽかんと開けたまま夜空に見入っていると、突然、声をかけられた。


遠慮がちに点るキャンプ場の電灯。

かろうじて見えたその主は、優菜さんだった。



「どうしたの? なかなか戻ってこないから心配してたんだよ」


「あ、すみません……。ちょっと気分転換しに……」



苦笑する俺に、優菜さんは「じゃあ、あたしも」と言って、すぐ近くにあったベンチに腰を下ろした。


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