†Orion†


優菜さんに促されて、俺もその隣に座る。

少し遠慮して、ひと一人分、あいだを空けた。



「星、キレイだねぇ」



感嘆の溜息をつきながら、優菜さんは夜空を見上げる。

はっきりとは見えない優菜さんの横顔を見つめながら、俺は尋ねてみる。



「優菜さんが最初に覚えた星座って何ですか?」


「最初に覚えた星座? うーん……オリオン座かなぁ」


「へぇ。俺は北斗七星です」


「……分かりやすいもんね。オリオン座も北斗七星も」



そういえば……

優菜さんの旦那さん、プラネタリウムの職員だったよな。


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