†Orion†


「酔っ払いはこれだから困りますねぇ」



明るい口調で言いながら、優菜さんは俺の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。


悔いたキスだったはずなのに。

俺は優菜さんの明るい言葉を聞いて、思わず調子にのってしまう。



「……酔っ払いの頼みを聞いてくれる?」


「……次はなに?」



落ち着き払って構える優菜さんに、俺はさらりと言った。



「もう一度、キスしていい? ――優菜……」



嫌われてしまう、とか。

崩れてしまう、とか。

そんな不安、今はどうでもよかった。


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