FALL AND FLY!!
The new world is "the moved world."
ジリリリリリリリリリ......。

目が覚めた。陽光が目を射抜いた。
「・・・ッ、つう......。」
伸びを一つし、ベッドを下りた。
...と、目の前の光景が頭を揺らした。
何だ?。
自分が起きたのは・・・、一言で言うと質素。
白色の壁紙に事務用机が一つ。
鉄パイプ製ベッドが一つ、本棚はほぼ空に等しかった。
出来る子の机というのはこのことか・・・。と素直に感心していると・・・。
「怜(レイ)くん、朝ごはんできたよ。」下から母の声がした。
「あぁ、今行く。」
それは俺の部屋だと後に気付く。
下りてわかったが、変化があるのは俺の部屋だけらしい、というより、そもそも俺の部屋は妹の部屋に吸収された(涙)・・・はずだ。
陽光院(ヨウコウイン)の、つまり俺の通う高校のブレザーとズボンがソファに掛かっていた。
これから寮に行くんだな、この学校は確か寮制だったはずだ。
「今日は荷物はこれだけでいいよね?。」
今日は用意してくれたのか、助か・・・。
見ると渡されたバッグは筆箱一つ、昔の不良以下だ(連中でもノート一冊はあったと聞く)。そんなこととは関係なく母の話は進行中。
「・・・入学式だね。」
入学式だと?、自宅から?、本来陽光院は入学式前日に、入寮式なるものがあって、
ここにおれはいないはず。

車内で。
「母さん。」
「なに?」
「陽光院ってジタクツウか?(自宅通学の略である)。」
「そうだよ、何で?」
「いや、べつに・・・。」
「元気ないね。」母が覗き込む。
「頑張ってね。」そう言うと母は俺の頭を撫でた。

俺は目の前の坂を見上げる。校舎はこの上だ。

リベンジするぞ。よくテスト中に頭に音楽が流れるってやつがいるよな、今それが
どういうことなのかがわかる。

一丁、勝負するか、そんな感じの曲が頭から放出するほど頭俺を満たしていた。

鼻当て付きのマスクを整える、俺は花粉に弱い。
腕に絡みつく母の手をかわして坂をのぼった。


















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