my First boy last boy.
チッ、と彼は舌打ちをしながら起き上がり、ワイシャツやネクタイを直す。
あたしも慌て起き上がり、服をきちんと直した。
「どうした?何かあったのか?」
海斗が扉を開けると、秘書さんらしき女性がいた。
「…いえ、社長の知り合いの方が来られてまして…」
「知り合い?誰?」
「…俺だよ」
どうやら海斗の知り合いらしき人が来たらしいが、ここからじゃ顔が見えない。
そして、扉が閉められ声も聞き取れなくなった。
さっきまで感じていた温もりが。
急に無くなって、ぽつんとひとりぼっちにされたようで無性に寂しくなった。
いつのまに…こんなに一人が苦手になったのだろう。
また暖かさを、知ってしまったから?
扉がキィッと、半分だけ開く。
「悪い、凪砂。ちょっと話してくるから…少しだけここで待ってて」
「…うん、分かった」
寂しいけど、仕方ないよね…。
「…凪砂?」
え?
そう呼んだのは、海斗ではない。
キィと半分しか開いてなかった扉が、すべて開く…。