my First boy last boy.
「車、いつ買ったの?」
「つい最近だよ」
座席に座った瞬間、微かに香った香水の匂い。秋ちゃんのじゃない。
CDラックに並ぶCD達も、秋ちゃんの趣味じゃない。
そうやって彼女を、乗せていた証拠は沢山あった。
それなのに、その日あたしを乗せているなんて、可笑しかったんだ。
なのにあたしは呑気に、秋ちゃんのいつもと変わらない態度に安堵して。
もしかしたら誕生日祝ってくれるのかな?なんて、考え始めていたんだ。
秋ちゃんが連れてきてくれたのは、海だった…。
「わーっ!海だ!!」
はしゃぐあたしとは反対に。
秋ちゃんはただ、海を見つめていた。
そして、「秋ちゃんどうしたの?」と、聞いたあたしはいけなかった。
冬なんだから寒くて、海には入れない。
そんなこと、秋ちゃんも分かるはずなのに。