my First boy last boy.
「…海、入れねぇな」
ぼそりと呟いた、その言葉は。
“合図”だった。
「秋ちゃん?」
あたしの呼びかけた声は、まったく聞こえていないようで。
目線が海から外れなくて、そのまま秋ちゃんは歩き出す。
「秋ちゃん!?」
あたしは慌てて、駆け寄って止めようとした。
だって、嫌な予感がしたから。
まさか…とは思ったけど。
秋ちゃんに限ってそんなことないって、思ったけど。
心臓の音が、なぜだか速くなっていく。
「どうしたの?今冬なんだから、海入ったら寒いよ?」
彼は、自分の言葉とは反する行動をしていたから。
あたしは、務めて冷静に言った。
そしたら秋ちゃんが、「…ああ、そうだな」って言ったから…、ホッとしたのに。