my First boy last boy.
「ありがとう」
お礼を言った。だけど海斗は、人差し指と親指に挟んだ桜の花びらを見つめて、突然ぽつりと言った。
「知ってるか?
桜の花びらを、地上に落ちるまでにキャッチ出来ると、幸せになれるんだってさ」
そんなの嘘だ。と内心思いながらも、もう一度桜の木を見つめた。
「…幸せに?」
「そ、幸せに。」
率直に人間ってそういうのがすきだな、と思う。
だけど、それは弱いから。なにかにすがりたがる。
パンッ、と海斗が両手を合わせた音がした。
でも、あたしもそういうのには弱いタチだ。
「はい。どーぞ」
目の前に差し出されたのは、ピンクの花びら。
「幸せ、あげます」
くすっと思わず笑った。
「ありがとう」
そっと、ピンクのそれを受け取った。