my First boy last boy.




「ま、こんなんで幸せが手にはいったら、安上がりなもんだな」


と、彼はけらけらと笑う。


「それはいっちゃだめでしょ」


せっかくの夢が台無しだよ。


「はは、ごめん」




だけど、







手のひらの中の、桜の花びらを見つめた。




こんなものがなくても、あなたが側にいれば、



あたしはいつでも幸せだと。




本気で思った。

本気で信じていた。






ビュン―――…!



瞬間に、強い風が吹いた。



大きくて、強い風が。




思わず、目をつぶった。


再び開くと、さっきの風のせいで桜の木から花びらが何枚もひらひらと、地上へと落ちていく。


…儚い。そう思った。





そして、閉じていたはずの手のひらを見てみると。


さっきまであった桜の花びらは―――なくなっていた。




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