my First boy last boy.




辺りを見たけれど、どれが海斗がくれたやつなのか、分かるはずもなくて。


海斗に手のひらを差し出して、「ごめんね」と謝った。



けっこう、落ち込んだ。

それから、寂しくなった。


海斗は別にいいよと笑って、慰めてくれた。




それでも落ち込んでいたあたしに。


それより、と言葉を切って。

ん、と指を指して促されたのは。



あたしが鞄とは別に手に持っていた、お弁当の入った手提げだった。




「それ、いつ食べさせてもらえるのかな?もう待ちきれないんだけどなぁ」


ウインク。そう笑う彼は、人の心を操るのがうまいと思った。


あたしをいつも元気にしてくれる。





広場の隅の方にちぢんまりとベンチがひとつ置いてあるのを見つけて。

2人で腰掛けて、お弁当を遠慮がちに広げた。



「…あんまり凝ったものは入ってないんだけど…」



なんせ急に思い付いたことだったので、あまり時間がなかった。


だから定番のおにぎりに、卵焼きやら唐揚げやら、簡単なおかずをタッパに詰めただけ。




< 222 / 469 >

この作品をシェア

pagetop