my First boy last boy.
「…あたしが知っている春は、高校時代の春だけ」
だけど妙に淡白な言葉だけが、あたしの口から滑り落ちた。
「…また、5人で集まろう。久しぶりにさ」
また、5人で……。
「…予定が、合ったらね」
頼んだ紅茶は、砂糖を入れたのに、苦かった。
そのまま、あたしはけーくんと別れた。
じゃあ、またな。ってけーくんの笑顔に、あたしは笑顔を返せなかった。
悪かったな、と今更思う。
多分この為に、来てくれたのに…。
けーくんは昔から、春と仲が良かった。
…行き先をけーくんにだけ教えたのも、納得だ。
でも……。
…でも、なんだって言うんだ。
コツコツと、ヒールを鳴らす。
最初は慣れなくて靴擦れをしたり、ヒールが折れてしまったりしたけど。
今じゃそれなりに似合う、大人になった。