my First boy last boy.




「…あたしが知っている春は、高校時代の春だけ」



だけど妙に淡白な言葉だけが、あたしの口から滑り落ちた。




「…また、5人で集まろう。久しぶりにさ」



また、5人で……。



「…予定が、合ったらね」


頼んだ紅茶は、砂糖を入れたのに、苦かった。




そのまま、あたしはけーくんと別れた。

じゃあ、またな。ってけーくんの笑顔に、あたしは笑顔を返せなかった。


悪かったな、と今更思う。

多分この為に、来てくれたのに…。





けーくんは昔から、春と仲が良かった。



…行き先をけーくんにだけ教えたのも、納得だ。




でも……。







…でも、なんだって言うんだ。



コツコツと、ヒールを鳴らす。

最初は慣れなくて靴擦れをしたり、ヒールが折れてしまったりしたけど。


今じゃそれなりに似合う、大人になった。




< 274 / 469 >

この作品をシェア

pagetop