my First boy last boy.
はいっと、一人カウンター席に座っているスーツを来た若い男性のところに向かった。
「ご注文お決まりですか?」
あたしがそういうと、広げていた小さなメニューから、視線を外して顔を持ち上げた。
「じゃあ、コーヒーをひとつ」
眼鏡をかけたその人は、見た目通りの、物腰の柔らかそうな声でそういう。
なんだか雰囲気が、このお店にとても似合っている人だと思った。
この空間に、これほど馴染む人がいるんだろうか。
ここに漂うコーヒーの香りみたいな人…。
気付いたら、数秒見惚れてしまっていた。
「…ミ、ミルクか砂糖はお使いになりますか?」
慌てて、その言葉を添えた。