my First boy last boy.
不思議な彼
「お待たせいたしました」
コトッ、とコーヒーを置く。
彼はすぐさまコーヒーカップを持ち上げ、
「うん。今日もいい香りだ」
そう、呟いた。
「ここのコーヒーを飲んだら、もう他は飲めないよ」
わかってるじゃない。
「…ありがとうございます。マスターに伝えておきます」
「ね、君今日何時まで?」
「…なんでですか?」
「ん?デートに誘いたくて」
こんな言葉を簡単に言えちゃうのは、やっぱり日本人ぽくないと思った。
…君なら、恥ずかしがってこんな言葉一つ、言えないだろう。
……いや、それは高校生までの君だ。
今はもしかしたら、さらっと言えるようになっているかもしれない……――。